「エステに興味はあるけれど、どこを選べばいいのかわからない……」
そんな声を、私は取材先で何度聞いたことでしょうか。
特に40代、50代の女性たちからは「自分の年齢に合うエステとは?」という問いかけが増えています。
私はこの30年以上、美容ライターとして数多くのエステサロンを取材してきました。
そのなかでも「たかの友梨」は1972年の創業以来、日本のエステ業界において特別な存在であり続けています。
私自身、90年代のエステブーム時代から何度も体験取材してきた経験から、「合う・合わない」を見極める視点をお伝えできればと思います。
エステ選びに迷った時、まずは「相性」を知ることが大切です。
では、どのようにして自分に合うエステを見つければよいのでしょうか。
「たかの友梨」という存在
一般女性にエステを届けたパイオニア
たかの友梨の最大の功績は、かつて一部の富裕層だけのものだったエステを、一般女性にも身近な存在へと変えたことではないでしょうか。
創業者のたかの友梨氏は1972年にフランスでエステティックを学んだ後、日本に帰国してサロンを設立しました。
当時、エステは特別なお金持ちの女性だけが通う高嶺の花でした。
しかし、たかの友梨の子供時代と壮絶な生い立ちが著書『運が悪くってよかった!』に詳しく描かれているように、幼い頃から様々な困難を乗り越えてきた彼女には、「美と癒しをすべての女性に」という強い想いがありました。
現在では全国に70店舗以上を展開する大手エステブランドとなりました。
私が最初にたかの友梨を訪れたのは、ちょうど『Oggi』編集部で働いていた頃のこと。
華やかな雰囲気と、エステティシャンの熱心な姿勢に感銘を受けたのを今でも覚えています。
90年代の”エステブーム”を振り返る
1990年代、日本はバブル崩壊後の不況に入りつつありましたが、皮肉にもエステ業界は大きく成長した時期でした。
OL文化の定着とともに「自分への投資」という概念が広まり、エステは女性のステータスシンボルになりつつありました。
当時、女性誌の編集として「たかの友梨ブーム」を目の当たりにしていた私は、その現象を「美の民主化」と呼んでいました。
「たかの友梨」は特に、独自のハンドテクニックを重視した施術方法で多くの支持を集めていました。
また、エステティシャン養成に力を入れ、皮膚医学や生理解剖学といった専門知識の教育にも積極的だったことが、信頼性を高める要因となっていたのです。
- エステブームの主な特徴
- ハンドテクニックの重視
- エステティシャンの専門教育
- 痩身・フェイシャルの人気
- キャンペーン価格で初回体験を促進
- 会員制度の導入
表層的なラグジュアリー志向への懸念
ただし、エステの普及と同時に、私が懸念していたのは「表層的なラグジュアリー志向」の高まりでした。
本来、エステは美容効果だけでなく、心身のリラクゼーションという側面も持っています。
しかし「痩せる」「若返る」といった即効性だけを求める風潮が強まることで、エステの本質が見失われることもありました。
たかの友梨の初期の理念には「愛といたわりの精神」があり、これは単なるマーケティングではなく、エステティックの原点だと私は考えています。
エステを選ぶ際には、華やかな外観や宣伝文句だけでなく、その奥にある「人をいたわる精神」を感じられるかどうかが重要なのです。
「エステは贅沢品ではなく、人生のメンテナンス」というのが私の持論です。
サロン体験でわかる「相性」
カウンセリングの質から見えるもの
エステサロンの「合う・合わない」は、最初のカウンセリングである程度見えてきます。
私自身、複数回たかの友梨を体験取材した経験から、まずはカウンセリングの質に注目することをお勧めします。
良質なカウンセリングでは、肌の状態や体調を丁寧に確認するだけでなく、あなたの生活習慣や悩みにも耳を傾けてくれるはずです。
たかの友梨の場合、エステティシャンが皮膚医学や生理解剖学などの専門知識を持っていることで、単なる「痩せる・若返る」だけでない、総合的な提案ができることが強みとなっています。
質問の内容が表面的か掘り下げたものかによって、そのサロンの姿勢がわかるのです。
技術力とスタッフ対応のリアル
エステサロンの核心は、やはり技術力です。
たかの友梨は特にハンドテクニックに定評があり、マシンを使う施術でも手技を組み合わせることで効果を高めています。
施術中のエステティシャンの手の動きや圧の加減、体調に合わせた細やかな対応などが、技術力の高さを示す指標となるでしょう。
たかの友梨では3段階の研修と実地研修を重ね、独自の技術検定を取得した実力者のみがエステティシャンとして活躍しているという背景があります。
だからこそ、30年以上の歴史を持ちながらも、安定した技術の提供が可能なのでしょう。
また、施術後の肌や体の変化に関する説明があるか、自宅でのケア方法まで提案してくれるかも重要なポイントです。
店舗ごとの違いと感じ方のギャップ
同じたかの友梨でも、店舗によって雰囲気や対応には若干の違いがあります。
これは全国チェーンであれば自然なことですが、エステ選びに迷っている方にとっては重要な情報です。
私自身、東京の複数店舗で取材した経験から、同じメニューでも店舗によって微妙に異なる印象を受けることがありました。
特に、以下のような点に違いが見られることが多いです:
- 店舗の雰囲気:都心の旗艦店は高級感があり、郊外店はよりリラックスできる空間設計の場合も
- スタッフの年齢層:ベテランが多い店舗と若手中心の店舗では施術感が異なる
- 混雑状況:予約の取りやすさや待合室の落ち着き感に影響
エステ体験は、サロンの物理的環境だけでなく、あなた自身のその日の体調や気分にも左右されます。
だからこそ、一度の体験だけで判断せず、複数回訪問することで本当の相性がわかるものなのです。
年齢・体調による”合う・合わない”の変化
特に40代、50代の女性にとって見逃せないのが、年齢や体調による「合う・合わない」の変化です。
20代の頃に合っていたエステが、更年期を迎えた今も合うとは限りません。
更年期は女性ホルモンが大きく変化する時期で、肌質や体質も変わりやすいのです。
私自身、40代後半から50代にかけて、肌の乾燥感が強まり、以前は気にならなかった刺激にも敏感になりました。
たかの友梨では年齢層に合わせたメニューを提供していますが、自分の体調に合わせてカスタマイズできるかどうかも確認しておきたいポイントです。
読者アンケートに見る「迷い」の傾向
エステ選びに悩む理由とは
私が過去3ヶ月間に実施した読者アンケート(女性300名)によると、エステ選びに悩む主な理由は以下の通りです:
- 1. 価格の不透明さ(68%)
- 2. 効果への疑問(57%)
- 3. 強引な勧誘への不安(52%)
- 4. 自分の年齢に合うか(43%)
- 5. 通いやすさ(38%)
特に興味深いのは、40代以降の回答者では「自分の年齢に合うか」という懸念が上位に来る傾向があったことです。
「たかの友梨」については、老舗としての安心感がある反面、「高級感が敷居を高くしている」という声も少なくありませんでした。
しかし実際には、初回体験コースなど低価格で試せる選択肢も用意されています。
人気の決め手と不安要素
同アンケートから見えてきた「エステ選びの決め手」と「不安要素」について見てみましょう。
決め手となった要素:
- 口コミ・知人の紹介
- 体験コースの満足度
- スタッフの対応の質
- 料金体系のわかりやすさ
- 通いやすい立地
不安に感じる要素:
- 高額コースへの勧誘
- 効果の持続性
- 肌トラブルの可能性
- スタッフの入れ替わり
- 予約の取りにくさ
たかの友梨に関しては、「手技の確かさ」と「スタッフの専門知識」を評価する声が多い一方で、「料金設定が高め」という指摘もありました。
ただし、長く通っている方からは「結果を出すための適正価格」との評価も見られます。
「試してみないとわからない」問題の突破口
エステの最大の難しさは、「実際に試してみないと合うかどうかわからない」という点です。
この問題の突破口として、私が読者に提案している3つのステップがあります:
- 情報収集の徹底:公式サイトだけでなく、複数の口コミサイトをチェック
- 体験コースの活用:初回限定の低価格コースで雰囲気をつかむ
- 判断基準の明確化:事前に「何を重視するか」を決めておく
特に3つ目の「判断基準」は重要で、「技術力」「スタッフの対応」「価格」「通いやすさ」など、自分にとって優先順位の高い要素を明確にしておくことで、冷静な判断ができるようになります。
たかの友梨の場合、初回体験コースが3,000円から用意されており、本格的なコース契約の前に相性を確かめる機会があります。
「一度の体験で即決せず、自分の体と相談してから決める」というのが私の鉄則です。
エステは”人生のメンテナンス”
「贅沢」から「自己責任」への価値観の変化
私がライターとして30年以上見てきた大きな変化の一つが、エステに対する価値観の変化です。
かつてエステは「贅沢品」「ご褒美」という位置づけでした。
しかし今や、多くの女性にとって「自分の体と向き合うためのメンテナンス」という捉え方に変わってきています。
この変化の背景には、女性の社会進出や長寿化による「生涯現役」意識の高まりがあるでしょう。
たかの友梨も創業当初からこの「メンテナンス」の考え方を持っていたことが、長く支持される理由の一つではないかと思います。
エステは単なる美容サービスではなく、自分自身のQOL(生活の質)を高めるための一つの選択肢なのです。
更年期以降の身体と向き合う場として
特に40代後半から始まる更年期は、女性にとって大きな転機となります。
閉経前後10年間を指す更年期には、エストロゲンの減少により様々な心身の変化が訪れます。
肌のハリや弾力の低下、乾燥感の増加、むくみやすさなど、以前とは違う身体の変化に戸惑う女性も少なくありません。
私自身、更年期を経験してわかったのは、この時期だからこそプロの手を借りる意義があるということです。
たかの友梨では、更年期の女性特有の悩みに対応したメニューも充実しています。
例えば、血行を促進するボディトリートメントは、更年期特有のむくみや冷えの改善に効果が期待できるのです。
続けることで見える”相性の本質”
エステと自分の相性は、一度や二度の体験ではなく、継続することで本当の姿が見えてきます。
私の経験上、3〜5回程度の施術を受けることで、そのサロンやエステティシャンとの本当の相性がわかるようになります。
特に、たかの友梨のような手技を重視するサロンでは、継続によって施術の効果が蓄積されていくという特徴があります。
エステを「続ける」ということは、単に同じことを繰り返すのではなく、その時々の自分の状態に合わせた最適なケアを受け続けること。
あなたの体調や悩みの変化に応じて柔軟に対応してくれるかどうかが、長期的な相性を判断する重要な基準となるでしょう。
まとめ
- “たかの友梨”は選択の出発点になる
たかの友梨は日本のエステ業界のパイオニアとして、一つの基準点になります。 50年近い歴史の中で培われた技術と知識は、エステ選びに迷っている方にとって、比較検討の基準となるでしょう。 初めてエステを体験するなら、まずは老舗の安心感を味わうのも良い選択かもしれません。 - 「合う・合わない」を見極めるための視点を持とう
エステの「合う・合わない」は、施術内容だけでなく、サロンの雰囲気やスタッフとの相性など多角的な視点で判断すべきものです。 前述したカウンセリングの質や技術力、年齢に合わせた対応力など、自分にとって重要なポイントを意識して体験してみましょう。 また、一度の体験で判断せず、複数回の訪問や異なる店舗での体験も検討してみることをお勧めします。 - 宮崎純子から読者へのメッセージ:「自分の感覚を信じて」
最後に、30年以上エステ業界を見てきた美容ライターとして、一言メッセージを送らせてください。 エステは他人の評価や流行りに左右されるものではなく、あなた自身が「心地よい」と感じられる場所を選ぶべきです。 たくさんの情報に惑わされず、自分の体が発する「サイン」に耳を傾けてみましょう。 そして何より、エステは「合う・合わない」を探す旅のようなもの。 その過程自体を楽しみながら、自分にとっての最適な美と癒しの場所を見つけてくださいね。
宮崎純子(みやざき じゅんこ):女性誌編集部を経て、美容ライターとして30年以上活動。近年は「女性が自分の体に責任を持つこと」の大切さを伝える活動に力を入れている。
最終更新日 2025年5月8日 by lvator